三大映画祭を全て制したことで知られるアントニオーニが初タイトルとなるベネツィアの監督賞を勝ち獲った群像劇。
トリノを舞台に5人の女たちの人間模様を描く物語で、自殺未遂で騒動になったり、出会った男と恋愛したり、服屋を開業したり、男を取り合ってケンカしたりと様々なエピソードが並行して語られていきます。
報われない愛とその末の悲劇という要素はアントニオーニらしいものの、少し前にフェリーニが「青春群像」を撮っているのと比べてしまうと、画家の男を取り巻く三角関係と、ビジネスでの成功と恋の間で揺れる女性の話だけで成立しているので、群像劇としたことの良さがあまり出ていない印象でした。
ただ敗戦後10年のタイミングで、男との関係性を主体的に築いて自己実現していく女性像を肯定的に描く先進性はお見事でした。