しがい

リアリティ・バイツのしがいのレビュー・感想・評価

リアリティ・バイツ(1994年製作の映画)
3.8
90年代、大卒社会人の青春映画。

主人公のリレイナはテレビ局に勤めるが上司に疎まれ即クビ。売れないバンドを続けるトロイはアルバイトを転々としている。GAPの店長に昇進したヴィッキーは男癖が悪く本当の愛を模索中。ゲイのサミーは両親にカミングアウトできずにいる。
彼らは共同生活の中で幾度となく衝突するけれど、そんな姿が羨ましく思える。

グランジブームの中で無気力な態度がカッコイイとされた時代だったけれど、トロイはまさにそのような無気力に生きる若者。
リレイナの撮影するドキュメンタリービデオ『リアリティ・バイツ(現実は厳しい)』の中でこんな事を言う。
「人生は貝殻のように空っぽ。だから僕は人生の細部(ディティール)に目をやる。例えば夜が明ける10分前の景色やキャメルを吸うひと時とか。」だから彼には一生懸命働くとか出世するとかには興味が無いわけで。
自分も同じような思考で生きてるなと共感したわけですが、社会はやっぱりそんな生き方を許してくれる筈が無い。
自分で働いて自分で飯を食うってことを一生続けてかなきゃいけないんだから。ああ現実ってつらい。

リレイナの求職活動は、MTV編集長のマイケルか親友のトロイかという恋愛のもつれにうやむやになってしまうけれどそれで良かったのか。ハッピーエンドではありますが少々モヤモヤが残った。


この頃のウィノナ・ライダーは天使なのでそれだけでも観る価値がある。
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