ムーミーコロコロ

日の名残りのムーミーコロコロのレビュー・感想・評価

日の名残り(1993年製作の映画)
4.0
しみじみと心に染み込んでくるような作品。決して派手さはないが、余韻が大きい。
スティーブンスは、執事の鏡のよう。周りがどんな状況にあっても、冷静に常に中立の立場で用をこなす。でも、その生き方が身についてしまっているからなのか、自分の考えを表に出すことができない。
父親の死に面しても、悲しさを表に出すことができない。
ましてや、自分の恋愛に対しても心を押し殺すことしかできない。本当に不器用な生き方。少し勇気を出して本音で語り合えば、身近な幸せを手に入れることができただろうに。
20年も経って、自分の間違いを正そうとしたけれど、運命のいたずらか、愛する人はスルッと手から離れてしまった。
あのとき、ああしていれはと、人間は誰しも後悔することがあるけれど、少しでも悔いのない人生を送るためには、自分に正直にならなければ。手に入らなかったものは、予想以上に大きい。