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ルナシーのTaTのレビュー・感想・評価

ルナシー(2005年製作の映画)
4.4
最初パスタ食べながら観てたけど、 冒頭いきなり映るうねうね動く舌のストップモーション、その後豚の体からこぼれ出す臓物。そういえばヤンシュバンクマイエルの映画ってこんなだったと後悔笑

監督自信が「芸術を期待するな、これはただのホラー映画だ」と語る。そんな訳ねーと思ったけれど、やっぱりただのホラー映画な訳はなかったです。

中身は精神病院を舞台とした自由と抑圧の話。神を冒涜して欲望のままに生きる侯爵と、肉体と精神のバランスを取るという理論の元、暴力で人間の精神を鍛えようとする院長の対比。悪夢のような現実というか、悪夢より質の悪い現実が主人公に降りかかります。そして、気色悪さを増長するような肉塊のストップモーション。その肉が時には踊ったり、貪り食ったり。これは人間の欲望の具現化なんでしょうか?

結局これを芸術と言わずして何と言うんだってくらい観念的でエゴイスティックである種の異常な熱を持った映画でした。シュールさと気違い具合がやっぱり好み。
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