Torichock

青い春のTorichockのレビュー・感想・評価

青い春(2001年製作の映画)
4.6
「青い春」

豊田利晃祭、開催

世界から断絶・隔離された世界の中で、自分の生きる道を見失い彷徨いながら、やがて仲間の消失や心身に深く刻まれる痛みと引き換えに、自分の歩み方を見つけていく

豊田利晃監督の映画はいつだってこのテーマを、バカにしたように突き放した態度を取りながらも、根のところからいつも優しく見守るように描いていると思う

この先もずっと永遠に、豊田利晃という人間の描く世界を見ていきたい

そして、もしも願いが叶うのなら
豊田利晃の映画の中で生きて死にたい

何十回目だろうか?

九條の下手くそなサッカーに会いに行く

青木の早弁姿に会いに行く

教頭の優しさに会いに行く

木村のフェンス越えに会いに行く

吉村の"アイスっす"に会いに行く

オバケの横顔に会いに行く

ファルコン校の人に会いに行く

大田のシャバさを殺りに行く

殺しに行く、殺しに行く、殺しに行く

雪男の一挙手一投足、雪男の全てに惚れに会いに行く

鳴り響く、赤毛のケリー


優しくて残酷な美しい青

水道の蛇口、校庭、ゴールポスト、部室、卓球台、桜、机、花壇、校舎...

輝いているものなんてなかったはずの世界が、消えてゆく友と、その友の心によって真っ黒に染められる
その刹那に、代わり映えのしなかったはずの世界が、微かに、でも確かに、優しくて残酷な美しさを持って輝き出す

何色に染めたって構わない

黒い花を咲かせたって構わない

思うままに、自分の世界を染めてしまおう


その世界の中でなら、僕は



13回だって超えられるのさ
Torichock

Torichock