「青い春」
豊田利晃祭、開催
世界から断絶・隔離された世界の中で、自分の生きる道を見失い彷徨いながら、やがて仲間の消失や心身に深く刻まれる痛みと引き換えに、自分の歩み方を見つけていく
豊田利晃監督の映画はいつだってこのテーマを、バカにしたように突き放した態度を取りながらも、根のところからいつも優しく見守るように描いていると思う
この先もずっと永遠に、豊田利晃という人間の描く世界を見ていきたい
そして、もしも願いが叶うのなら
豊田利晃の映画の中で生きて死にたい
何十回目だろうか?
九條の下手くそなサッカーに会いに行く
青木の早弁姿に会いに行く
教頭の優しさに会いに行く
木村のフェンス越えに会いに行く
吉村の"アイスっす"に会いに行く
オバケの横顔に会いに行く
ファルコン校の人に会いに行く
大田のシャバさを殺りに行く
殺しに行く、殺しに行く、殺しに行く
雪男の一挙手一投足、雪男の全てに惚れに会いに行く
鳴り響く、赤毛のケリー
優しくて残酷な美しい青
水道の蛇口、校庭、ゴールポスト、部室、卓球台、桜、机、花壇、校舎...
輝いているものなんてなかったはずの世界が、消えてゆく友と、その友の心によって真っ黒に染められる
その刹那に、代わり映えのしなかったはずの世界が、微かに、でも確かに、優しくて残酷な美しさを持って輝き出す
何色に染めたって構わない
黒い花を咲かせたって構わない
思うままに、自分の世界を染めてしまおう
その世界の中でなら、僕は
13回だって超えられるのさ