きゅうげん

エクソシストのきゅうげんのレビュー・感想・評価

エクソシスト(1973年製作の映画)
4.1
澁澤龍彦が「悪魔的映画と真面目に受け答えすればたちまち悪魔憑きになってしまう」と公開当時に指摘したとおり、あるいはサタニストである高橋ヨシキさんが「存在を否定されてきた悪魔は本作によって甦ったのだ」と形容するように、この映画の社会的・宗教的影響にはあまりにも甚だしいものがあり、そちらばかりへ耳目が集まりがちのエポック・メイキングなホラー映画。

恐怖演出から画になる撮影まで、ニクいほど冴えわたってますね。
印象的なポスターデザインはもちろん、視線誘導の巧みなカメラワークにシルエットやスモークのかっこいい照明のワザ。人形やゲロ、皮膚に浮かぶ文字などギミックもいい味を出してますね、さすがディック・スミス。
※ちなみに悪魔ゲロがカラス神父の顔へかかったのは全くの事故で、そのため彼の「うっへぇ~」というリアクションは本物らしいですね。

しかし、あんまり観すぎたせいでマクニールさん宅の間取りがもう頭に入っちゃいました。自宅より動線しっかり把握できてるかも。
個人的には、空中浮遊vs聖水攻撃のあとのお互いヘトヘトになった小康的な膠着状態の雰囲気がすき。しっとりながらも衝撃的なラストもふくめて。