FREDDY

ブラザーフッドのFREDDYのネタバレレビュー・内容・結末

ブラザーフッド(2004年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

カン・ジェギュ監督が『朝鮮戦争』を題材にチャン・ドンゴン、ウォンビンの共演で制作した戦争ドラマである本作は、1960年6月、ソウルで言語障害を持つ母親と靴職人を目指す兄ジンテ、そしてその婚約者のヨンシンらと貧しいながらも幸せな日々を過ごしていた中、25日未明に突如として朝鮮人民軍"傀儡軍"が南浸し汽車で避難しようとするも韓国軍の徴募隊に捕まり強制的に入隊させられたことで、家族と引き離され、徴募隊に盾突いたことで強制徴募されたジンテとともに傀儡軍との激しい戦闘が繰り広げられていた最前線へと送り込まれた高校生のジンソクが、過酷な状況下に置かれ、戦争による悲惨な光景を目の当たりにしパニック状態に陥っていた弟の"除隊"を強く懇願し自らが手柄を立て"勲章"を得ようと躍起になっていたジンテに不安や葛藤を覚え、"勲章"や"除隊"にとらわれ家族や仲間に目を向けない彼に対して憤りを感じ何度も衝突を繰り返していたところ、終戦が間近に迫り撤退の準備を行っていた矢先に10万人以上もの中国共産党軍の参戦により状況が一変し、とある事件を機に敵対する朝鮮人民軍の旗部隊の隊長となっていた兄との絶縁を決断するもジンテが家族宛に書いた手紙から"戦前と変わらぬ愛を家族に向ける、靴職人を夢見る兄"を強く感じたことで、正気を失い敵軍に寝返ったジンテの目を覚ますべく再び最前線へと赴き戦場を駆けていく様が描かれた作品となっているのだが、やはり本作は同じ民族を二分した「朝鮮戦争」を題材とした内容が描かれるので深く考えさせられるものがありましたし、「保導連盟事件」という民間人虐殺事件にも触れられているので学べたものも多くあり観る価値は大いにありました。そしてチャン・ドンゴンとウォンビンの共演で織り成す兄弟の物語は見ていて苦しくなるほどの"悲劇"ではあるが、弟のために自らの危険を顧みずに戦場を駆けていく兄の姿には心を揺さぶられましたし、臨場感が伝わる戦闘シーンはそのどれもが見応えがあり、イ・ドンジュンが手掛けた音楽もまた強く耳に残るほど印象的で、率直な感想としてはとても素晴らしい一作といったところでしょうかね。ただ、兄弟愛や保導連盟事件といったものに焦点を当てるも"朝鮮戦争"自体を掘り下げたわけではないので戦争の裏側はあまり描かれませんし、ドラマよりも戦闘シーンに重きを置いたような印象を受けたので、人によっては歴史観点やドラマパートに物足りなさを感じてしまうのでは。それでも決して観て損はない作品ですが。
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