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サルサ!のKSのレビュー・感想・評価

サルサ!(1999年製作の映画)
4.4
文化やカルチャーは、血縁でなく、生まれた後の関係の中で育まれるものである事をサルサを通して描いた恋愛映画。

フランスにおけるキューバ移民に対する差別問題に触れながら、物語の中で登場人物たちの立ち位置が変わっていく事で、アイデンティティと服装の関係、そこに恋愛が絡む事で外見での差別問題をも浮き彫りにする。


そういった事を踏まえた上で、この映画の冒頭に出てきた

“キューバ人になりたければ、苦しみは笑顔で隠せ”

というこの言葉に〇〇人という言葉が持つ人種以外の意味や差別問題の根深さが表れているように思う。
いまヘイトスピーチが日本を含め世界中で問題になっている。ヘイトスピーチ当事者はアイデンティティと言うかも知れないが、それは差別意識を隠した偽りのアイデンティティである。この映画の登場人物たちも自分自身で問い直していくように、アイデンティティと差別を社会的にどう切り分けて区別する事ができるのか、恋愛を題材にしているから見えてくるものもあるんだなと思った。

そして、そうした差別意識は映画『ジョーカー』のPut On The Happy-Faceという言葉にもあるように、人種的なものだけでないとも思った。
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