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スカーフェイスのGTのネタバレレビュー・内容・結末

スカーフェイス(1983年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

「滅びの美学」とはよく聞く言葉であるが、まさにそれを体現した映画がこれだ。
何といっても、アル・パチーノの演技と存在感が凄い。非常に攻撃的で口が悪く、更に自信過剰。移民で昔貧乏だったというコンプレックスからか、金や名声への執着が凄まじいという、典型的な悪党だ。その反面自分で言う通り真っ直ぐな性格もしており、妹や母親を気遣う優しさも見せる。気怠い感じの雰囲気を始終漂わせており、とにかく独特なキャラクター。こちらの厨二心を絶妙にくすぐってくれる。
厨二心といえば、マイアミの不健全な雰囲気も堪らない。マイアミビーチは物凄く美しく、そこに建つネオンが煌々と光るビルディングもとても綺麗なのだが、どう考えても汚い事が行われてそうな(実際真っ黒なんだが)空気感がすごく良い。
裏社会でのしあがった後の、見本のような転落ぶりはいっそ清々しい。彼の傲慢尊大ぶりは益々悪化し、更に麻薬の吸い過ぎで精神状態もどんどん悪化。口を開けば悪口ばかりで次第に人心が離れていく様は悲しい。狂って往年のパートナーすら殺し、襲撃してきた敵に妹すら殺されるという救いようのない展開。半狂乱でマシンガンをぶっ放し、次々に敵を殺戮していくものの、背後からショットガンでズドン。高所からプールに落下し、トニーは死亡する。地球儀のオブジェに書かれた「世界はお前の物」という皮肉たっぷりの言葉によって映画は幕を閉じる。息をつかせぬ展開でダレる瞬間というものがない、まさに名作だ。
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