Omizu

さすらいの女神(ディーバ)たちのOmizuのレビュー・感想・評価

3.5
【第63回カンヌ映画祭 監督賞】
『007 慰めの報酬』の悪役などで知られるフランスの俳優マチュー・アマルリック監督作品。カンヌ映画祭コンペに出品され、監督賞と国際映画批評家連盟賞をW受賞した。セザール賞では作品賞を含む7部門でノミネートされた。

いい映画だった。とは思うが『青の寝室』の方が僕は好き。監督としての腕はもちろん評価できるが、実際の「ニュー・バーレスク」の演者たちに頼った部分が散見される。

女性による女性のための出し物「ニュー・バーレスク」の演者たちとプロデューサーの男、彼らのロードムービー。演じている方々は実際の演者さんたちで、多くは演技未経験だという。そうは見えない堂々とした風格に圧倒される。

演者の女性たちには意外とフォーカスせず、アマルリック自身が演じるプロデューサーに焦点を当てている。彼の過去や立ち回り、演者たちとの関わり方をじっくり映していく。

アマルリックの手腕はこの時点で既に完成されているが、イマイチ乗り切れないのは何故だろう。そう考えるとやはり役者たちに頼りすぎなんじゃないかと思ってしまう。ニュー・バーレスクの女性たちはもちろん自分にも。

概ねいい映画だとは思ったが、アマルリック監督作品のベストを更新するまではいかなかった。ただ『彼女のいない部屋』といい監督としても今後注視していきたいと思える作品だった。
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