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突然の恐怖のzhenli13のレビュー・感想・評価

突然の恐怖(1952年製作の映画)
3.9
ジョーン・クロフォード、ジャック・パランス、グロリア・グレアムというなんとも濃いいキャスティングに惹かれて観たら面白かった。
ジョーン・クロフォードの過剰眼力が過剰で賞獲りにいってる感じのアップ過剰演技はさておき、その眼力眼光と振り子時計の影をずーっとオーバーラップさせて殺人計画を頭の中で予習するみたいなシーンはほんとに最後まで眼光だけがずっと残ってて眼力の執念を感じる。寧ろマン・レイや初期ブニュエルのシュールレアリズム映画を髣髴とすらさせる。

振り子時計はタイトルクレジットから登場しており、振り子時計のほか鏡で背後をみる、ぜんまい仕掛けのブリキ犬、「口紅がとれる」「扉を開けておこうか」という台詞などいくつかのアイテムが反復される。口述筆記用の録音再生機はキーアイテム。ブラインドカーテンの影が成すパースを背景にブリキ犬がじゃーじゃーと近づいてくるのホラーでしかない。グロリア・グレアムの部屋の中やラストのジャック・パランスの追走劇など闇と光の設計が素晴らしくて見惚れる。

途中でパランスらの計画がバレてクロフォードが失望もそこそこに復讐を画策する、それを自分で箇条書きにしてて、役者の演技vs脚本家の知性みたいなのを表したかったのか。
なんでグロリア・グレアムがジョーン・クロフォードと似た服装してるんだ?と思ったらそういうことか。これがヒッチコックなら、クロフォードとグレアムにお互いを憎みきれない、同一視する心理を見え隠れさせるのかも。グレアム贔屓としてはもう少し彼女がひと暴れするのを観たかった。
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