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突然の恐怖のSPNminacoのレビュー・感想・評価

突然の恐怖(1952年製作の映画)
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顔のせいで役を降ろされたらそりゃ恨むよって話だが、その俳優レスター演じる若きジャック・パランス独特の容貌があればこそ(ブルース・キャンベルにも見える…)。自分をクビにした劇作家で資産家のマイラに近づき、逆にすっかり彼女を虜にしてしまうが、もちろんマイラから何もかも奪う策略だ。つまり、悪人顔に見える男は悪人だという…身も蓋もない設定である。それもどうなの。
けど、顔ならジョーン・クロフォードも強烈だ。太眉と大きな目をひんむいて恐怖に慄き、殺るか殺られるかの大芝居を打つ。劇作家らしく、きっちりシナリオとタイムテーブルを作った完全犯罪にスリルたっぷり。汗と涙に濡れたあの瞳をどアップにして、こってりと迫力の演技を見せつけるクロフォードの方が怖いよ。
カードやマッチ、小型レコード録音機、犬のゼンマイおもちゃ、小道具で盛り上げるサスペンスと心理戦。さあ崖か階段か銃か毒薬か…と思わせて、意外な最期だったけど、やはり身を守るためでもヒロインを犯罪者にするわけにいかないんだろう。そもそもクロフォードが酷いのに!
性悪ビッチを小生意気に演じたグロリア・グレアムがさすが魅力的だった。けど、これじゃ俳優じゃなく最初から詐欺師。芝居の台詞とパランスの声が鍵になるとか、舞台の恨みは舞台で決着するとかを期待したので、そこは残念。
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