青二歳

お吟さまの青二歳のレビュー・感想・評価

お吟さま(1962年製作の映画)
3.7
1962年田中絹代監督。利休の養女お吟の恋。お吟に有馬稲子、彼女が恋い慕う高山右近に仲代達矢、そして利休に中村鴈治郎二世。さらに利休の妻りきに高峰三枝子と美女が並んで眼福。中村鴈治郎の"父親"利休…その後の史実を思うと、ラストの絶望感に満ちた表情がよかった。
ちなみにお吟が嫁いだ先の万代屋宗安は伊藤久弥。ふてくされてます。あと岸恵子が磷付にされる女役で、馬に括り付けられ引き回し。なんとこれだけの出演。にんじんくらぶスゴイなあ。秀吉も。ただ宗啓に笠智衆とあるけど…これは違くない?

デウスへの純潔云々とか説く仲代達矢のインテリくさいもったいぶった役所が最高です。こういう役が似合いますねえ。後期のキャリアより若い頃の方が役に恵まれている気がします。有馬稲子の素足を洗うシーンがとてもエロくて何よりです。
女性監督として最多作品数は田中絹代の6本が日本記録だったのかな?女流ポルノ監督なら多作でしょうが今や色んな方がたくさん作ってますねえ。まだ希少だった女流監督…撮影が宮島義男さんで、この辺のベテランに支えられているためか画の仕上がりは安定感あり。加えて女の視点が中心なのも悪くないんですが、高山右近や千利休という濃いキャラクターを演じさせる以上はもうちょい悪趣味な演出してくれるとなお良かったとは思ったり。原作がお吟さまだから仕方ないとはいえ、ロマンスに重点置きすぎなのが残念。
田中絹代版ではキャラクターが薄い利休…とはいえ中村鴈治郎の存在感のおかげで茶の湯政道の渦中のドラマである事を忘れずにすみます。ただやっぱり…中村鴈治郎の使い方もったいない…物足りぬ…

素直に監督6本目でこの仕上がりはスゴイと思う。DVD化してほしい。笠智衆じゃないことを確認したい。MovieWalkerほか間違ってると思うんだけど…
青二歳

青二歳