主人公がそもそもは女に興味のない男だとわかるように演出するとき、雑誌のグラビアを切り抜いて、その裏ページの天文学のグラフを壁に貼り付けるところめちゃくちゃ上手いなとおもった。次カットで部屋の全景が見えて、天文学に関する資料が部屋中に張り巡らされている。セリフは何もない。で、主人公が恋を覚えたとき、今度は部屋中に一人の女性の写真が大量に貼られるこの大胆な切り替えは単純だが説得力があって何より素直にわかりやすくて良い。
序盤の婚約者探しのくだりは明らかにキートンのセブンチャンスのオマージュというかパロディって感じ。本作は同じギャグでも荒唐無稽に行き過ぎず、誰にでも起こりうるかもしれないと共感させるナンセンスへとブラッシュアップされている。キートンは走る車に飛び乗るが、エテックスは止まっている車に乗り込んで、走る前に降りてしまう。キートンは1000人くらいの淑女の大群に追いかけられるが、エテックスは1人のアクの強い女に追いかけられる。こういう違いを探すとおもしろい。
エテックスがテレビ画面に釘付けになって一目惚れするシーン、かなり好き。