邦題詐欺映画だけど普通におもしろい。『2001年宇宙の旅』の陰に隠れた、史実(アポロ11号)と映画史における宇宙空間がいよいよ現実味を帯びてくる時代の一本。
米ソ冷戦の延長として戦いの場は宇宙へ移行し、人類初の月面着陸を敵国より先に達成すべく無謀なピルグリム計画に選出された男の物語なのだが、スペクタクルは抑えて前日譚にスポットを当てたほぼ人間ドラマ。
ただこれもある種プロパガンダなので上層部の圧力がアルトマンを襲っており、エンディングの改変ほか仲睦まじい男女/幸福な家庭とは一番遠い監督に親子のキャッチボールを撮らせているという、考えようによっては中々グロテスクな映画でもある。