YukikoSwan

欲望という名の電車のYukikoSwanのレビュー・感想・評価

欲望という名の電車(1951年製作の映画)
3.6
エリアカザン監督、
欲望と言う名の電車
鑑賞しました!

映画化した背景や時代背景を知らないと、
なんだコレは?
となりやすいタイプの映画です。
私はアメリカの歴史を再度確認したのと、町山さんの解説をきいて、
かなり納得しました!

以下ネタバレありの解説です!


ビビアンリー演じるブランチは、
アメリカ南部の元貴族。
彼女が演じた風と共に去りぬの役柄、あの貴族ぶりを思い出していただければよいのですが、アメリカ南部は黒人奴隷を働かせて農業をし、主人である白人が贅沢をするという時代が長くつづきました。
しかし1900年初期から半ばにかけて、
どんどん南部の経済は悪化し、
貴族たちが貴族らしい生活ができなくなっていきました。

ブランチは元貴族なので、チヤホヤされて生きてきた。
しかし初恋で失敗し、環境も変わり、1人では生きていけなくなってしまった女性です。
映画版では色々はしょられてますが、
彼女の初婚の男性と見られるアランは、
実は同性愛者だったため、ブランチがそれを責めたことで自殺してしまった。

ブランチはそこから成長できなくなってしまいました。
アランに似た男性を求めていると、未成年ばかりで、いつのまにか未成年を狙いホテルに連れ込む女になってしまった。
1人ではなにもできず、男に甘えて生きていこうとしたあげく、誰とでも寝る女になり、歳もかさみ、世間的にひどい言われようをするようになった。

マーロンブロンド演じるスタンリーはそんなブランチに現実を突きつけます。
スタンリーはアメリカ育ちのポーランド人で、当時のアメリカは移民が下支えしていたこともあり、彼は現実の象徴となります。しかし暴力的で下品。それも当時のアメリカを表しています。

ちなみに当時のハリウッドは規制が厳しく、性的な物はほとんどダメだったらしい中で、この映画はギリギリのラインを結構超える内容であり、画期的だったようです。
Tシャツ1枚というのは当時では肌着であり、貴族からすればそんなお下品な格好で映画に映るなんて!といった価値観だったらしいですが、マーロンブロンドがかっこよすぎてTシャツ1枚ブームが起こっちゃったとか。さすがですね。

ちなみにスタンリーとブランチの妹夫婦は、DV夫と元貴族の一般大衆に夢みる嫁というペアで共依存。それもヤバめ。

最後までなんかいやーな雰囲気の本作品。
サンセット大通り的な感じですね。
ホラー笑

環境のせいで、落ちぶれたらブランチは可愛そうだけど、環境うんぬんいう前に自分で生きてかなきゃいけないってことでしょうね、、、やー、厳しい!

ちなみに本作品でビビアンリーは、精神が参ってしまったそうです。なんと可哀想な、、、。実はビビアンリーのプライベートはブランチと近しい状況にあって、現実を突きつけられてダウンしてしまったとか。

欲望という名の電車は死に向かいます。
現したいことはわかるけど、なんだか夢がない感じがつらい。
怖い映画でした!
YukikoSwan

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