ヒロ

鶴は翔んでゆく/戦争と貞操のヒロのレビュー・感想・評価

4.6
『炎628』以来のナチスへの怒りを昇華したパワフルソ連映画ふたたび。

結婚を控えたリア充カップルのもとに独ソ開戦の報せ、男は祖国と女のために闘い、女は男をひたすら待つ………なんつー王道メロドラマなプロットは置いといて、見所は縦横無尽に駆け回るカメラが収める映像。ボリスが階段を駆け上がるカット、ヴェロニカが惜別を掻き分けるシーン、ヴェロニカが絶望に飛び込もうとするシークエンス、ヴェロニカが最後の希望を夢見るシーン、、、etc。大勢のエキストラを四方八方に配置し、あってないような隙間を縫うように動き回るカメラ、それどうやって撮ったのというカットが永遠に続く。

これらの運動性に満ち溢れた映像の中に急に差し込まれる人物の表情をどアップで押さえたフィックスの画。この緩急がエグい、ダルビッシュのカーブ並みに効果絶大。

ただそんな素晴らしいカットの数々を押さえての今作のハイライトは喜劇と悲劇がディゾルブするシーン!もうここだけ次元が違う。

ソ連の怒りはハンパねぇ。。。

2017-
ヒロ

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