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アンジェラの灰ののんchanのレビュー・感想・評価

アンジェラの灰(1999年製作の映画)
4.1
145分間、目一杯アラン・パーカーの世界に浸った。長いけれど飽きない。人を惹き付ける独特の感性を、もう新作は無いのだと理解した上で、溢れんばかりに感じたいと楽しんだ。

原作はピュリッツアー賞を受賞し大ベストセラーになった、フランク・マコートの自伝的小説。
「一番惨めなのはアイルランドの、それもカトリックの子供たちだ」から始まる。

着た切り雀、食べ物も赤ちゃんのミルク代さえ無い状態、生まれたばかりの赤ちゃんも双子の弟も次々に亡くす貧しい一家のお話。
語り手は作者である一家の長男フランク(子役が3人変わるが、それぞれに本当に素晴らしい)の成長過程で感じた言葉で語られる。

父(ロバート・カーライル)は気位ばかりが高く一向に仕事は見つからず、失業保険まで酒代につぎ込んでしまうダメ親父。でもフランクは、父親が知らない世界の作り話をしてくれるのが大好き。父の代わりに家族を食べさせていくために奔走する気丈な母(エミリー・ワトソン)はたくましい。

日本人には馴染みが薄いが、そこが生まれ育つ環境というもの。フランクは事あるごとに教会へ懺悔しに行く。お金が無くても心だけはスカスカにならないように。キリスト様が見守っている。心の支えは大事だけどね...

フランクが10代前半でとうとう父親が家を出て行ってしまう。それからというもの、長男として一家を背負い、石炭運びなどの仕事を始める。文章力が優れていたフランクは教師に才能を認められていた。少しづつお金を貯めて19歳で憧れのNYへと船出する。

やはり、キャスティングが抜群!見事な役作りが観る者を惹きつける。
この作品は子役の見極めが成功している。
幼児期の子役は15000人の中から監督に見極められただけある。地方の農家の子供で演技経験ゼロだというが...ジャケ写真からして最高!あとの2人もそれぞれ賢くて上手い。10代後半の子役はイケメンだけど、その後の活躍はどうなのだろう?

配信も手軽でよいけれど、DVDだと特典映像が楽しめるので、観終わってからキャスト達の取組み方などが見られるし、その時代の知らない知識が増える感じでワクワクする。
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