じゅげむ

残菊物語のじゅげむのレビュー・感想・評価

残菊物語(1939年製作の映画)
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綺麗な東海道四谷怪談

美しいに違いないのだが
理不尽な理由で周囲や主人公から
痛めつけられるお徳はとても
直視に耐えなかった

歴史を知れば知るほど
女の不遇や現在進行形の差別
インドのカースト制度や
西洋人による奴隷貿易による
アフリカ経済の停滞やらまあ色々
日本の昔と世界の今を想います

お徳の健気な献身に母性を感じ
安らぎを感じ 私もあんな女性に
優しく抱かれて頭を撫でられたい
と心の底で懐かしく感じます
(そんな思い出は無いのですが)

しかしあの振る舞いは
時代がそうさせたと思うと
とてもこんな悠長なことは言ってられない

特別歌舞伎ファンとも言えませんが
数年に一度は能や歌舞伎をみます
相撲はまだみたことがないな

彼等が大切にしている格みたいなものは
無法者の私に全く関係が無く 憧れることもなく
むしろ恥の濃縮還元というか
それが芸に関わるとはとても感じられず
むしろこの芸事に血統や家柄などは
関係ないというエビデンスのほうが強そうで
彼等のブランディングはSNSの
フォロワー数で競い合うような馬鹿げた
儚い夢や幻に思えるのですがどうでしょう

昔の日本人ってすげえなと唾を飲むほど
撮影方法等常軌を逸するほど美しいのですが
昔の女の不遇に対する現代の女の素直な嫌悪感は
フェリーニの『道』をみたときと似ていて
待てよ あれは変態マザコン映画だ
いや 違うなどと再度解釈したり

昔の女の命と意地を掛けた情念は
現代の女に呪いのように継承されている

残菊物語というタイトルはまさしくその通り
じゅげむ

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