切ない青春密室劇。
鑑賞後になんともいえない懐かしさと儚さが残りました。
80年代アメリカンハイスクールの楽観的な雰囲気を持ってしても覆い隠せない哀しみ。
コメディタッチな演出を挟みながらも、痛く、苦しく、瑞々しい。むしろ明るい演出が余計に哀しみを引き立たせます。
そして、心理描写が本当に巧みです。密室劇では心理描写の巧拙がモロに作品の出来を左右するところ、演出・脚本とも細心の注意を払って組み立てられているように感じました。
スクールカーストは単に個人の性格の問題にとどまらず、家庭環境が大きく影響することが伝わってきます。リアルカースト。
そんな根深いスクールカーストは、彼らを再び
バラバラにしてしまうのだと思います。
終盤の展開も、若さゆえのその場の盛り上がり感が非常に強く、かえって虚しさ(貴重さ?)を感じます。
それでも、腹を割って自分と他者に向き合った経験は、彼らの財産となって残るのでしょう。
社会ではおそらく交わることのない、学校という特殊な世界でのみ生じた関係。
補習という、個人の意思とは関係なく集められた集団だからこそ生じた関係。
ここでしか、今しか成立しない友情。
週明けにはなくなっているかもしれない友情。
その儚さゆえの懐かしさ・美しさを感じます。
なんとなく通り過ぎたシーンも、思い出せば思い出すほどズシンと響く。
時間をおいてもう一度観たい一作。