不満はあれど、意義の大きい一作。
ノーランがオッペンハイマーに対して想像以上に厳しい視線を向けていたことが印象的でした。
どこか覚めた目線で人を描くことの多い彼の特徴がピタリとはまっていたように思います。
ただ本作はとりわけ時系列が入り乱れ、登場人物が多く、説明は淡白気味。そのため、予習なしだと理解が厳しい。そこはちょっとどうなのかなと思います。
ロバートダウニーJr.の存在感が際立っていましたが、なるほどあのいやらしさは演技ではなかったのだなと。
原爆実験絡みで圧巻の映像を期待しましたが、期待したほどではありませんでした。彼が撮る映像に関してはハードルがかなり上がってしまうからでしょう。ただ、改めて実際のトリニティ実験の映像と比較すると、再現度は相当高かったようです。
テーマがテーマだけに、思うところがいろいろ出てきます。
配給を決めたビターズ・エンドに感謝。