酒ポテト

時計じかけのオレンジの酒ポテトのネタバレレビュー・内容・結末

時計じかけのオレンジ(1971年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

キューブリックの作品と知らずに父のすすめで見たが、衝撃的すぎた。前半から中盤にかけては、残忍な犯罪者が更生後に待っていた復讐劇に遭うという、ある種同情を誘う展開になるのかと感じて見ていた。実際そのような点もあったが、更に複雑だった。
内務大臣による壮絶な矯正が残忍な主人公の倫理観道徳観を奪う。牧師が言っていたように、大臣の施術を受けた主人公には選択の能力がなくなってしまっているという点に同意した。これがキリスト教的な教えなのかはよく分からないが同意できると感じた。その後彼は政治利用(与野党それぞれに)される訳だが、第九を無理やり聞かされ自殺未遂を図った後の主人公は、施術を受ける前の狂気的な人物に戻っているように見えた。精神科医のスライドにも暴力的な回答をするし、ラストの大臣とのツーショットでの目も狂気に満ちていた。
しかしここで先の選択の自由について考えた。彼はスライド治験で回答に悩む素振りを見せた。これは倫理観との葛藤であり、選択とも取れる。つまり彼は自殺未遂後選択の自由を手にしたのでは無いだろうか。とするとこの時点での彼は人間として最善?の状態であるとも取れる。狂気的な目を取り戻した彼が人間として最善というのが腑に落ちないが、その後も政治利用を受けるだろう彼にはやはり同情してしまった。最後の大臣のセリフについて、もう一度施術をして政治利用ができることが嬉しくて、アレックスに「よく治ったね」と言っているのだとしたら怖くなった。
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