犬のかたち

マイ・フェア・レディの犬のかたちのレビュー・感想・評価

マイ・フェア・レディ(1964年製作の映画)
3.5
みるみるうちに美しくなっていくイライザから目が離せなかった。

粗野な環境で育っていようと教養を持ち合わせていようと誰かを愛するということは共通していてそのことに理屈なんて無いんだなと思った。

花売りとして自分で自立する強さも言葉よりも行動で示してほしいと密かに乞ういじらしさも持ち合わせたイライザがただひたすらに可愛くて素敵。
気品を纏った女性に変化して得たものは多くあれど、気づかないうちに失われてたものもある。
イライザは粗野な環境も煌びやかな世界のどちらも経験しているから教養を得て視野を広げた分喪失感があったんだろうな。
イライザの父もそれと同様ちょっとの運の良さで良かったのに富を得て失うことを恐れるようになったり、知ること知らないこと、どちらが自由で幸せなのか測れないものだなと思った。
置かれた環境でこうも人間変わるとは。

ヒギンズ教授もイライザと出会うことで誰かを愛することにしっかり向き合えるようになったけどイライザが押しかけてきた時点で大佐の話も聞かず身分の低い花売りだからと一蹴していたらヒギンズ教授も変わらないままだったろうからよかった。
この時代なら身分とかの差別も色濃かったろうから尚更。
人の風貌ひとつで判断せずゆっくりとその人自身に向き合うことは時代も国も違うけれど忙しない現代の日常生活にも通ずるなと思った。

競馬場と舞踏会のシーンにうっとり。