ENDO

日本春歌考のENDOのレビュー・感想・評価

日本春歌考(1967年製作の映画)
4.5
恐らく民族的な寓意がたくさん散りばめられている素晴らしい作品なのだろうが悲しいかな日本人であり東北人である私には土着的民謡の歌詞を聴き取ることは殆ど出来ないのです。大学受験。新宿のロレンス。藤原××。受験番号469。京橋にあるできたてのパレスサイド・ビルディング。紀元節復活反対のデモ。早苗・智子・幸子。大竹と高子の逢引。とにかく混沌としていて歌詞は春歌へと替えられている。神道とプロテスタントソング、そしてセックス。妄想レイプ。初めから目的を完全に失い、何も感じない。虚無。中村は何故見殺しにしたか理由も何もない。何にも熱くなれない。

満鉄小唄の替え歌『雨ショポの唄』
歌詞は朝鮮語訛りの日本語。

雨のショポショポ降るぱん(晩)に カラス(ガラス)のまと(窓)からのそ(覗)いてる まてつ(満鉄)のきぽたん(金ボタン)のぱか(馬鹿)やろう
さわるはこちせん(五十銭)見るはたた(只) 三円こちせん(五十銭)くれたなら かしわ(鶏)の鳴くまで 付き合うわ
あか(登楼)るの帰るの とうしゅるの 早く精神ち(決)めなしゃい ち(決)めたらけた(下駄)もて あか(登楼)んなしゃい
お客さんこのころ(頃)紙高い ちょうぱ(帳場)の手前もあるてしょう こちせんしゅうき(五十銭祝儀)をはちみ(弾み)なさい
そしたら私はた(抱)いて寝て ふたち(二つ)もみっち(三つ)もおまけして かしわ(鶏)の鳴くまで ぽぽしゅるわ
ああたま(騙)されたたま(騙)された こちせん(五十銭)金貨と思うたに ピールピン(ビール瓶)の栓かよ たま(騙)された

挑発的で鬼気迫るシーンの連続。高子と関係を持ったあとの高速道路の会話。南部藩の盆踊り『ナニャドヤラ』。ラスト騎馬民族説とヨサホイ節。青春の青臭さが匂い立つ。黙って殺すしかない。何度も観直す無為を堪能したい。
ENDO

ENDO