日本春歌考の作品情報・感想・評価

「日本春歌考」に投稿された感想・評価

Mayashico

Mayashicoの感想・評価

3.5
時折聞こえるシンセの怪音がクリス・マルケルっぽい『たそがれ酒場』。黒沢清も指摘してた伊丹十三の口とアフレコが全く一致してない部分は、泥酔しながら春歌を歌う伊丹十三の表情と相まってほんとに面白い。
一

一の感想・評価

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初・大島渚!で不思議に傑作。軍歌vs猥歌、プロテストソングvs猥歌、古事記vs猥歌。政治的態度や性別などなど様々な対立は歌合戦として現れる。それもほんとに単なる歌と歌のぶつかりあい。終盤意味がよくわからないけど面白いからイイ~。アフレコによる独特の音演出は後のロマンポルノだったり神代辰巳だったりを思わせる。
山上たつひこ『喜劇新思想大系』にあるスカトロ寿司回の題が『日本春歌考』だったというのは全く関係なかった。
雨

雨の感想・評価

3.0
大島渚監督中期の異色作。性の歌、アメリカの軍歌、色々な歌が色々な感情に寄り添って歌われる。空想の講堂で魅力を感じた女子を犯す、その体を実際に目にした時の大学生たちの目。何と言ってもラストシーン、表現を豊かに楽しみ実験的な作品を打ち出していた大島監督の事がもっと知りたくなった。「夏の妹」同様、やはり作品に政治が色濃く絡んでくる。映画のこと、時代背景のこと、もっと勉強したい。
荒木一郎は日本で唯一サングラスが似合う男だと鹿島茂がどこかで言うてた気がしますが、本編は一切サングラスをかけてません。荒木一郎が犬のように見えてきます。「ひとつ出たほいのよさほいのほーい」と春歌を歌う人はなぎら健壱以外もういなくなりしたかね。
akira

akiraの感想・評価

3.8
今も昔も童貞達は妄想でどこまでもいける。ただそれだけの映画なのに、日本映画の最高峰、、日本のヌーベルヴァーグといわれてる本作。醤油臭さや鈍臭さこそが世界に伝わることを教えてくれる。
4/8/2018

2回つづけて見たらめちゃ良い気がしてきたゾ
otom

otomの感想・評価

4.0
一つ出たホイノヨサホイノホイ。悶々とした若者は空想に忙しい。ベトナム反戦なんじゃそりゃなのである。ヘルメットヘアー荒木一郎を中心とし空想の限りをつくす若者達。妄想乙から実効主義への道は果てしない。デモどころじゃない。分かります、男だもん。しかし小山明子は美しい。傑作。
よー

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3.8

「日本春歌考」をみた。
この頃の伊丹十三(一三)は恐ろしく男前である。
立方体を転がすようにゴツゴツとした印象のしゃべり方や口ずさむ春歌が、それでもどこかスマートに聴こえるのがまたにくい。
映画そのものは、結構難解だったかもしれない。
政治的メッセージの存在はもちろんとして、なにより主人公の高校生たちのリビドーが主軸となり話が成り立っているものだから、多方向に行動や空想が飛び散って捕まえづらい。
ただ面白いなと思ったのは、性的衝動には行動力と不全感が共存しているというところ。
常にこの感覚が映画全体を取り巻いているように感じた。
能動的な野望のなかに、それに相反した受動的な願望が潜んでいるとゆーか。
またそれを強さと弱さって言葉に、簡単には置き換えられない何かがあったり。(どちらも強さな感じがする)

まあ、時間があったらもう一度見てみたいと思った。
そしてこの作品を現代にリメイクするのなら、藤原眉子役は橋本愛しかいないだろうな。もう。
これもあったよね。まあまあ面白い作品だ。も一回観ないといけないかも、もうずっと前に観たから。
小一郎

小一郎の感想・評価

3.5
東京・渋谷ユーロスペースで、現役日藝生の企画・運営による映画祭「映画と天皇」にて鑑賞。本作の大島渚監督と17歳の時から30年間文通していたという映画監督・映画評論家の樋口尚文さんのトーク付き。

いろいろな春歌を調べて日本社会の深層心理みたいなことを考える話かと思っていたら、全く違った。トークがなければ、単に変な映画だなあと思っただけで記憶から消えていっただろう。

大島監督と言えば、深夜のテレビ討論番組で「バカ野郎!」と怒鳴るオジサンというイメージが強いけれど、彼の作家性が色濃くでている映画のようだ。

この映画の成り立ちについては次のよう。①『白昼の通り魔』のヒットなどで、大島はエロだと当たるという話になった、②添田知道が性に関する俗歌を収集した「日本春歌考」という本が話題になっていた、③「大島、この本をネタにしてでなんか撮れや」ということになった。

その結果、低予算かつ3週間という短期間で完成したのがこの「エロ映画」。完成2週間前にもシナリオができておらず、キャスティングも決まっていない状態。アフレコ作業が間に合わず、地方の劇場では公開が3日遅れたとか。

ということなので、春歌の中身について考察などがあるわけがなく、春歌も「ひとつでたホイのよさホイのホイホイ」の「よさほい節」ばっかり。春歌以外にも、軍歌や革命歌、フォークソングなど、様々な歌が歌われる。

それで何が言いたいのかと言えば、「何もしないくせに歌を歌って、いい気持ちになってんじゃねえよ、バカ野郎! 立場を考えろ立場を。お前がそんな歌を歌ってる場合か、バカ野郎!」ということらしい(「よさほい節」は「バカ野郎!」代わりに歌われている感じ)。

主人公の不条理から目をそらそうとする女子高生たち、言うことは立派だが、実行が伴わない革命家崩れ、従軍慰安婦の心情を歌った歌の意味がわからず、パンクですか?と聞く、フォークソングを歌う能天気な若者たち。こいつら、みんなバカ野郎!なのかな。

そうしたなか、主人公と469はまだしも見込みがある。口先だけでは意味がないことをわかっている469は、ブルジョアだけどいいヤツなんだ、と。とにかく、行動するんだ、バカ野郎!

NHKが2013年4月25日に放送したクローズアップ現代によれば、大島監督の<常にテーマとして描き出していたのは、社会の不条理で>あり、<「現在この社会の中で存在する不条理なもの、不合理なものに対して、怒りを持って闘っていくことなしには社会の進歩はないんだ」>ということらしい。
(http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3341/index.html)

ただ、世の中が豊かになる中で、監督のこうした思いは受け入れらなくなっていく。それが50年の時を経て、大学生が本作を選んだことに、勝手に意味を考えてしまう。

紀元節復活の当日に黒い日の丸を掲げ行進するシーンを撮影したということはあるけれど、それは本筋とはほぼ関係なく、「天皇」というテーマからはかなりはずれているにもかかわらず、何故学生は選定したのだろう。

社会の不条理が許容範囲を超えてきているのか、若者達がオジサンよりもはるかに見込みがあるのか。少なくとも、後者であることは間違いなさそう。

●物語(50%×3.5):1.75
・ナニコレ的な自分は「バカ野郎!」なんだろうなあ。

●演技、演出(30%×4.0):1.20
・黒い日の丸は凄いかも。今、やる人いないだろうなあ。

●画、音、音楽(20%×2.5):0.50
・やっつけだし。
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