matchypotter

フォーン・ブースのmatchypotterのレビュー・感想・評価

フォーン・ブース(2002年製作の映画)
3.8
久しぶりに観た。
コリンファレル、フォレストウィテカー、そして、この公衆電話にかけてきた“電話の主”、、、。

アメリカでの携帯電話の爆発的な発展途上を背景に公衆電話が激減。この社会的な出来事をうまく逆手に取った作品。
面白い。

携帯電話片手にニューヨークでブイブイ言わすプロモーター。役者やアーティストを売り込みながらネタを掴めばそのネタで他と交渉しチャンスと金を掴む男、ステュ、コリンファレル。

このコリンファレル演じる調子に乗ってるプロモーター感が冒頭の数分でわかるこの描写にまず引き込まれる。
携帯電話片手に助手を従えて次から次へと電話を受けては電話をかける。

その電話の相手がワイプで画面に出てくるの演出がとても良い。

その彼がとある不純な理由で毎日携帯電話ではなくて街に1つしか無くなってしまった電話BOXで電話をかける。
今日もそんな“イケイケ”の1日、のはずが、、、。

その公衆電話の電話が鳴り、その電話を取ったステュ、コリンファレル。それが全てを狂わす大惨事に。
誰だか知らない“電話の主”が、電話口で、淡々と牙を剥く。

この映画、ほとんど電話BOXと電話の会話で話が進む。
途中で騒動が起きて、死人が出て、コリンファレルが殺したことになり、警察が押し寄せ、マスコミ押し寄せ、ニュースを見た妻やら知人やらが押し寄せ。

周囲が慌ただしくなり、そこにいる警察の現場の指揮官がフォレストウィテカー。

彼が、最初はコリンファレルを殺人犯と思い、投稿するように呼びかけることから始まり、徐々に、コリンファレルが殺しただけの単純な現場でないことを勘づき始める展開。

「なんで、この状況下でもずっと電話に出て、誰と話してんだ?お前?」と。

その異変に気付くも、“電話の主”に切らせてもらいコリンファレル。
“電話の主”はその状況を楽しみ始め、あれやこれやと電話を通してコリンファレルに近付く彼や、押し寄せた知人たちに、コリンファレルの口から色々周囲に話させる。

“電話の主”とコリンファレルの関係。
コリンファレルとウィテカーの関係。
コリンファレルと周囲の関係。

これらがたった1つの電話BOXと1本の電話で錯綜し、死人が出て、自分も死ぬかも知れないほどの大騒ぎになる。

最後に、色々わかり始めて、ウィテカーが動き始める、、、からの展開。“電話の主”、さすが。
ピザ屋の件もしっかり活かすのも良い。

オープンな路上にある閉鎖的な箱、電話BOX。
このかつてはどこにでもあった見慣れた風景が1人の男の命を脅かし、人生を変える事件に。

壮大で大掛かりな話ではないけど、だからこそ妙に切迫感とリアリティがある。

誰もが持つ人に言いたくない自分の秘密やアイデンティティが一瞬でぶち壊される気持ちの悪さもあって、それを80分強ぐらいという無駄のない作りでスピーディーに走り抜ける庶民的な環境で豪快なクライム映画。


F:1960
M:13989
matchypotter

matchypotter