あまのうずめ

ヒポクラテスたちのあまのうずめのレビュー・感想・評価

ヒポクラテスたち(1980年製作の映画)
2.9
京都洛北医大の6回生の荻野愛作ら6人は図書室で避妊法のテスト結果を話し合う。荻野は高得点を獲ったが恋人の中原ジュンコに妊娠したかもと告げられる。6人は臨床実習に入り、まず産婦人科に派遣された。荻野はジュンコのアパートと寮を行き来していて、寮に戻ると定例のミーティングが開かれるとのことだった。


▶︎自身も医師免許を持つ大森一樹が監督し脚本も担当。ATG製作。

荻野ら6回生の6人と寮生による青春群像劇で、無免許医師行為や森永ミルクヒ素混入事件などの時勢も盛り込んでいる。

映画部の南田の部屋に“気狂いピエロ”“勝手にしやがれ”のポスターが貼られ、自身のゴダール好きが垣間見れる他、居酒屋名が“赤ひげ”だったり、オギノが避妊で高得点とか、かなりのこだわりと言うかひねりが効いている。それに漫画“ブラックジャック”が挿入されたと思ったところに手塚治虫の医師役での出演や鈴木清順のチョイ役とかレアな面もあった。

ATGだからこその手作り感や編集での演出も見られ、伊藤蘭の出演にキャンディーズの曲が使用されたりなどの遊び心が随所にみられた。

今作やこれ以降のゴジラ作品や昨年の日本アカデミー賞特別賞受賞を思う時、確かに邦画に足跡を残した監督の一人であり、彼の代表作の一つとなっている。

WOWOWの『ATG製作作品特集』にて鑑賞。