もう既にその後の作品の原型が出来上がっているような感じがしました。これが「一応」学生映画であるという事実が恐ろしいです。
段々確信に近づいていくに従って、飛び交っていた視線が一つに集まって、やがて極端な長回しに向かうまでの画面構成が恐ろしいほど上手かったです。
暴力を振るった人が次々と立ち上がるところや、突然風呂場で始まる情事など、唐突にスリリングなシーンを挟んでくるところはもちろんのこと、やはり今作も乗り物の使い方が素晴らしかったです。アホみたいな長回しの中で大型トラックまで操るというね笑
ただここまで綺麗に作り込まなくても、もっとシンプルで面白い映画もあるよなとも少し思いました。リアリティはあるのにどこか知的なゲームに見えてしまうというか。独特の臭みはあると思うので、こういう作風が嫌いだという人が、現実を直視したくないというわけではないことも分かります。合わない人は徹底的に合わない気がしました。
