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東京暗黒街・竹の家のCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

東京暗黒街・竹の家(1955年製作の映画)
3.5
【貴重すぎる50年代日本文化】
先日TSUTAYA渋谷店で非常に珍しい映画を借りてきた。それは「東京暗黒街・竹の家」という作品です。戦後初日本ロケで撮られたハリウッドカラー映画なんだけれども、2点今じゃ考えられないところがある。

一つ目は、本作はヤクザ映画にもかかわらず警視庁が撮影に協力しているところにあります。「新幹線大爆破」では、国鉄を使用することが内容的に許されていなかった。一方、本作は外務省や東京都からの指令で富士山麓電鉄の閉鎖を許可したことで、冒頭から富士山バックに殺人事件が描写される後にも先にもないシーンが撮られています。

そして二つ目は、本作の監督サミュエル・フラーはB級映画監督だというところにあります。「ショック集団」や「裸のキッス」等のゲテモノ映画を生み出した監督が、日本でヤクザ映画を撮り、それも警視庁が全面撮影協力するというありえない状態を観ることができるのです。

それではじっくり解説していくとしよう。


☆「東京暗黒街・竹の家」あらすじ
「情無用の街」のリメイク作品。
富士山麓で殺人事件が発生。アメリカ軍の兵器も奪われてしまう。そこで日本警視庁のキタ警部とアメリカ憲兵隊ハンスン大尉が協力して犯人を捜すのだが...


☆貴重すぎる映像
正直、話自体はB級刑事物です。しかもアメリカ人目線で描いているためか、日本人が本当に何を言っているのかわからなかったりする。しかしながら、「砲艦サンパブロ」の撮影でもあるジョー・マクドナルドの舐めるようなカメラワークで映し出される日本風俗が本当に興味深い。

例えば、1950年代のパチンコの様子が観られる。確かにパチンコと言えば、小津安二郎の「お茶漬けの味」でも確認出来るのだが、あちらは白黒です。こちらはシネマスコープという当時最高の映像で撮られているので本当に綺麗。当時のパチンコは今みたいに爆音こそ鳴っていない。

そして、もう一つ注記すべき点は、ラストバトルシーンが浅草松屋の屋上遊園地で撮られているところにあります。地球型の動く足場の上での死闘はハラハラドキドキさせられる。よくこんなアクション撮れたなー、許可降りたな~と思う程凄まじいシーンになっている。

本作は、話としては典型的なバディものだが、日本文化を知る映画のマスターピースと言える作品であろう。
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