Nanami

江戸怪賊傳 影法師 前篇のNanamiのレビュー・感想・評価

江戸怪賊傳 影法師 前篇(1925年製作の映画)
3.6
国立映画アーカイブのサイレントシネマ・デイズにて、片岡一郎さんによる活弁付きで鑑賞。すごい贅沢な体験だった。

現存するフィルムは前編のみ。そのためこれからどうなるんだよという場面で突然終わる。
しかもこの作品は1925年公開なので当然フィルムの状態は悪い。「雄呂血」のように修復もされていないため表情が読み取れないくらいの箇所が多かった。
それでも阪妻は男前であった…。ぼんやりとした画でもはっきりとわかる整った目鼻立ち、骨格の良さ。そして背が高い。

権力者を憎み弱き者を救う盗賊、影法師は庶民のヒーロー。だが素の彼は不器用でナイーブな美男だった。
盗賊であることを偽りながら一人の女性を好いてしまい、相手の立場やこれからの人生を考えて思いを打ち明けられない。モテるのに。
強い奴の弱い面を堂々と見せる、むしろ強調する演技で観客に支持されたのだろうな。男性からは阪妻も俺らと変わらんやん…という共感が得られ、言うまでもなく女性はこういうタイプ好きだし。

阪妻の泣く演技に心が揺さぶられまくった。
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