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スタンド・バイ・ミーのEyesworthのレビュー・感想・評価

スタンド・バイ・ミー(1986年製作の映画)
4.8
ロブ・ライナー監督の1986年公開のノスタルジックな青春映画。スティーブン・キングの『The Body』が原作。

〈あらすじ〉
オレゴンの小さな田舎町。優秀な兄を亡くした文学少年ゴーディ、勇敢なリーダー格クリス、気弱だが優しいバーン、イカれたメガネのテディの4人の少年達は、行方不明になった子どもが列車に轢かれてそのまま死体になって放置されていることを聞き、死体の第一発見者になるため旅に出ることを決意する。そして、辿り着いた先には…。

〈所感〉
キング原作の代表的な映画なので、なんとなく最後に恐ろしい化け物が登場するのではないかとヒヤヒヤしたのを覚えている。金ローで一度見た時はそこまでピンと来なかったが、もう一度見てグッとくるものがあった。成程、この映画は少年のための映画というよりも、大人になった少年のための映画なんだと思った。大人になったゴーディの目線から、居酒屋で昔話に花を咲かせるように小説として語られた過去の出来事だ。だから内容がどこまで真実に近いかはわからない。もしかすると、パイ食い競争のようなあれだけ面白い物語を作れる彼のことだから、殆どが空想上の話かもわからない。けれども、間違いないのは4人の少年達は何かを探しに旅に出たことだ。その何かは人によって異なる。勿論皆が目的としているのは死体ではあるが、それを通じて得たいものが各々違う。ゴーディは兄がいなくても一人でやっていける程のわかりやすい力が欲しかったり、一方クリスは横暴な兄を懲らしめられる程の力が欲しかったのではないか。我々も少年時代は彼らのようにあるかもわからない"何か"を探して旅に出たものだ。本当にそれがあったかはどうでもいい。その道中、そして帰り道に仲間と話したこと、考えたこと、味わったことすべてが思い出だ。大人になったらもうあんなバカみたいな無茶な旅には出られないのだから。
中学に入って心底息が合っていた訳でもないバーンやテディとつるまなくなったのは、妙にリアルだなぁと思う。ステージが変わればつるむ仲間も変わるのは当然だ。だからこそゴーディにとってクリスは掛け替えのない親友であり、お互い家庭の問題はあれど、あの土壇場を二人で切り抜けたように今後も二人でなんとかやっていくのだろうという希望が見えた。儚い思い出の詰まった少年時代のバッグ。今後10年おきに覗きたい素晴らしいジュブナイル作品である。
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