暮色涼風

BIUTIFUL ビューティフルの暮色涼風のネタバレレビュー・内容・結末

BIUTIFUL ビューティフル(2010年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

この作品の青緑色がかった色調が好き。
そして、どの作品でも味のある画になるハビエル、渋い。

余命ものの物語は、ひとつ間違えるとチープな映画になってしまうけれど、アレハンドロ監督の『アモーレス・ペロス』を観ていたから、この映画も超重みのある映画なんだろうと、ある意味安心して観れた。

この映画では、人物の"魂"が幻覚やイメージとして映し出されている。
特に鏡を使った演出が卓越している。
中盤、鏡の前でうつむいている主人公のカットで、実像は動いてないのに、鏡の中の主人公は顔を上げ自分を見つめた。
ほんの一瞬のシーンだったが、鏡の中の主人公は自身の魂を表現しているのではないかと思った。
その考えが確信に変わったのは、ラストのシーン。娘とベッドで寝ている主人公から、鏡の方へパンしていくと、寝ている主人公を見つめている主人公が座っている。そしてその眼にクローズアップしていくと、冒頭の雪山のシーンへ繋がる。
鏡の使い方で、生と死を彷彿させる、巧く粋な演出だった。
暮色涼風

暮色涼風