BIUTIFUL ビューティフルの作品情報・感想・評価

「BIUTIFUL ビューティフル」に投稿された感想・評価

Mana

Manaの感想・評価

3.5
作品が伝えたいことを完全に理解するのは難しい。娯楽的な作品ばかり見ていたので、勉強になったし考えさせられた。
美しさのかけらもない
生活の隙間で、
もがいて家族を愛した
その姿こそが
何よりも美しい。

このレビューはネタバレを含みます

一人の父親として一人の男として一人の人間として彼はどう生きたのか。
もがき苦しみながら己の正義を貫こうとした男の物語。まともな仕事を持たずひび割れた家族を支えていた上に余命2ヶ月のガン宣告を受けてしまったウスバル。確実に死へと向かいながら彼がこの世に遺そうとしたものと遺さないようにしたものはなんだったのだろうか。
生と死の対比というものが至る所で描かれこの作品の骨組みとして機能していた。ガンに伴う不調が顕著に現れだした中盤におけるウスバルが持つ死の空気と彼が訪れたダンスホールが持つ異常なまでの生の空気の交わるシーンにその効果が最も良く出ていたように感じた。
お話の筋書き自体に大きな起伏が無い分、優れた細かい心理描写が多く用いられていた。それによって人間の強さと弱さが婉曲的にしかししっかりと伝わるように描かれていたように思う。
もう少し歳を重ねて自分の立場が変わってからもう一度観たいと思わせられる作品だった。
こんなに美しい死体遺棄のシーンは、見た事がなくて当時衝撃を受けた...

これを見ると、死ぬ前の身辺整理なんて夢物語な気もする。

唐突にUnderworldの曲流れてびっくりしたり...
(2018年DVD22本目)
(2018年通算48本目)
とても悲しいのにタイトルの通り美しい映画だと思う。複雑なバックグラウンドや状況に置かれた登場人物の悲哀や希望が過不足なく丁寧に描かれていて、一度みただけの今は言葉にできるくらい整理できてない、そんな作品。
「BABEL」よりも画面の中にそれぞれの暮らし、生活があって好きだった。最後天井に張り付いているのはリウェイかと思ったけど、誰だったんだろうか
この位のラインの絶望感が一番居心地が悪いかも...

映画として割り切れない。

日常と常に隣り合わせにある世界。

あと、建物の外観だけじゃ人々の生活感って分からないものですね。

スペインって華やかなイメージがあったからだいぶイメージ壊れました。

あんな雰囲気の家に俺は住めない。

スペインと比較しても日本って恵まれているなってなんとなく感じる事が出来ました。

重かったぁ〜。

タイトルに惹かれて見始めると痛い目に合いますね...

お菓子だけどハバネロ味。
かおり

かおりの感想・評価

4.8

このレビューはネタバレを含みます

監督曰く、イヘは戻って来たと。決して強盗に殺されて魂だけ戻って来たわけじゃないと(私はそう思ってみてた)。だったら救われる。

死と隣り合わせの残酷な貧困の中にも、美しい人間らしい瞬間が光る名作。イニャリトゥ監督、好きだなぁ。重いけど。

中国人不法移民のリリと赤ちゃんが死んでたシーンはもう心臓抉られた。いたたまれない…

人が生きている世界、死後の世界。ビューティフルはどちらだと言いたかったのかな。
suu

suuの感想・評価

3.8
好きな雰囲気の映画だなぁと思って見始めて、のめり込んでいった。
鑑賞後に監督名みたら、イニャリトゥ。
この監督の作品、やっぱり好きだ。

フランス映画見た後だったからかな。
個人的にはスペイン語圏の映画が肌に合うみたい。
ちょっとベタッとした感じ。日本の湿っぽさに似てる部分がある。




ラスト、天井に張り付いていたのはイヘ説があるみたいだけど、一時停止して見たらスペイン系の男の人でした。
その前に主人公の霊みたいなのが、鏡の前を横切る描写もあったし、天井に張り付いていたのは主人公なのでは?
とにかくイヘは戻ってきたと信じたい。
yuko

yukoの感想・評価

4.8
噛めば噛むほどにこの映画の深みがよりわかってくるような気がするので、ぜひもう一度最初から観たい。

貧困、病気、仕事、子供の養育、妻の精神病、苦難だらけの生を強いられる主人公の苦悩は想像を絶していた。劇中の描写がリアルで、遠い国のどこかに暮らす本物の家族を見ているようで心が揺さぶられた。そこに正しい答えは無い。彼は生きるしかなく生きるとしか。

イリャトゥ監督ならではの、闇を照らすような美しい光の使い方や風景の捉え方が素晴らしい。映像美というだけでなく、心理的にも心を打つ。嘘くさくならない絶妙なオカルト要素にもセンスを感じる。人の心象風景を具現化したようなリアルさがある。

この監督の作品には日本人的な感覚に通ずる、行間や余韻がある。言葉では説明のつかない間のとり方が、見事に人の哀しさや美しさ、弱さや強さ、絶望や希望を繊細に表現している。

ウスバルについてわかりやすい説明はなく、淡々と彼の日常を追う形で段々と彼がどんな人間でどんな状況なのかわかっていく。登場人物やテイスト(霊能力や移民問題やゲイカップルなど)の情報量が多いが、不思議とまとまりがあってチープにならないのはさすが。

これまで映画は無駄をそぎおとしていかに魅せるかの技術だと思ってきたが、この映画は逆で無駄をそぎおとさないことでむしろ現実感があったし、最後まで見て削るべきシーンがひとつも無いことを突きつけられているような説得力があった。

父の死を悟ったアナとウスバルが抱き合うシーンは心に焼き付いて離れない。空回りし続けて、子供たちを残し無念のまま世を去らねばならないウスバルに、心の平穏は訪れるのか。生と死の狭間に毛玉を吐き出すことは出来たのか。

ラストシーン私は希望を感じた。
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