Clara

カンパニー・メンのClaraのレビュー・感想・評価

カンパニー・メン(2010年製作の映画)
3.0
不況により大規模リストラが行われたコングロマリット。そこで長年会社に尽くしてきた会社人間の男3人が解雇され、路頭に迷い、悩み苦しみながら、もう一度立ち上がる再起の物語。しかし、話の中心になる男は3人ではなく4人。ベン・アフレック、クリス・クーパー、ケヴィン・コスナー、トミー・リー・ジョーンズという豪華で渋い面々が演じている。

まず、日本がいかにぬるいかバカでもわかる。笑 解雇に伴う人事の会話がえげつない。もはや正当性なし。
トミー演じるジーンは大企業の副社長、クリス演じるフィルはジーンの右腕、ベン演じるボビーは営業部長。ジーンは会社の立ち上げ期からいるし、フィルも造船の現場仕事から這い上がってきた金属30年社員。ボビーの首が飛ぶのはまだしも、前述二名ですら首が飛ぶ。

人事のエグさもさることながら、ニヤニヤが止まらないのは役員。「社員より株主に責任がある」という恐ろしい現実。配当が増えれば自社株保有の自分たちは収入増だから、社員の首切りも楽しいくらいかもしれないと思うと鳥肌。

大企業の高給取りであるボビーは、ケヴィン演じる個人工務店経営者である義兄・ジャックを見下しているふしもある。というか、ジャックに限らずという感じなので、失業しても再就職先はなかなか見つからない。それにも関わらず、かつての生活や考えから抜け出せず、さらには見栄が邪魔して家庭も火の車に。そんな中、見下していたジャックにボビーは救われる。失業からの学びの一つは、人としての在り方だったのでは。

いろいろあれど、このメンツの中では若いボビーはまだ何とかなっている。日本と違ってスペシャリストとして力があれば道は開けるので、ジャックの力を借りながらも、自分が本当にやりたい仕事を探し求めることを忘れずにいる。
副社長だったジーンは、資産があるからこちらもまだなんとか。最悪なのがフィル。年齢的に再就職は不可能なうえ、膨大なお金がかかる大学生の子供を抱え、さらには病弱な妻まで。
解雇という一つの出来事を通して見る4つの人生。決して100%暗さを伴うわけではなく、苦境の中でも持ち続ける信念や熱意、そして同じく苦境に立たされた仲間たちの中に生まれた友情も魅力的だった。
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