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エレファント・マンのsnatchのレビュー・感想・評価

エレファント・マン(1980年製作の映画)
4.2
〝生きていてよかった〟と思えることが幸せだと思った。そう思ってくれるよう、貴方に僅かながらも喜びを運びたい…みんなもそう思ったのだと思う…

「幸福のラザロ」を観た時も思いましたが、目の前に純粋で無垢な存在が現れた時、自分がどんな人間なのか、自分の本質が剥かれる。トリーヴス医師も私も…
誰も近づかなかった彼の隠されていた心を知ることにより、異形な外形はただの薄ものになり、そこにジョン・メリックという人間がくっきりと立っている。
ジョン・メリックは、初めて、この世に優しい心を持った人々がいることを知り心から芸術に感動し、きっと思ったのだと思う、生まれてきてよかったって。僕もあの絵の少年と同じように床で眠ってみたいと心から思って、旅立ったのだと思う…

シャープなモノクロ映画と違って、この映画はどこか温かみがある。ジョンの濁りの無い真っ直ぐな黒い目、フリークスのお友達と夜の川辺を抜けていくところ、トリーヴス医師の妻の気持ち、風が運ぶ教会…優しい映像が印象的。
最後は涙で映像が霞みつつ、デビッド・リンチって、なんて熱いんだ❗️と胸昂まり静かに幕は降りました…
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