マピンターズボーン

エレファント・マンのマピンターズボーンのレビュー・感想・評価

エレファント・マン(1980年製作の映画)
3.5
【あなたはどのタイプの人間?】

これは19世紀末に実現した「エレファントマン(象人間)」と呼ばれる奇形人間の数奇な運命の物語。

この物語には3つの人種が出てくる。

①彼の醜くさを嘲笑う見世物小屋の主人や客たち
②彼もまた人間。優しく接するべきだという偽善者たち
③心の底から彼を愛した人たち


この監督は本当に悪趣味ですね~。
いやイレイザーヘッドの時からわかってたけどさ。

デヴィッド・リンチは謳う
「この映画を観るお前も見世物小屋に興味本位に見に来る観客と変わらないのだよ」

ほら人間ってあるじゃないですか。
自分より圧倒的に不幸な人をみてどこかで安心してるんです。
戦争で悲惨な国をみて日本は平和で良かったとか安心してるんです。

たぶんこれを観る大多数の人が
ヒューマン映画を観るという大義名分でエレファントマンの素顔を見たんですよ。

僕は正直な所
自分とは大きく異なる容姿の人間が目の前に急に現れたらゾッとするし
残念ながら触れるということを躊躇すると思う。

事実こんなことがあった。
街を歩いていると「それ」は不意に僕とすれ違う。
一瞬の出来事だったが今もはっきり覚えている。

風船のようにパンパンに膨れ上がった顔に濡れた紙を重ねたような
ボコボコした表面。そしてそれは眼や鼻や口の凹凸が一切ないのだ。
ただ眼や鼻や口があるそこにくっきりと子供の落書きのようなパーツが描かれているだけなのだ。

多分それは人間なのだと思う。ただ僕は震えが止まらなかった。
それは感情でどうにかなるものではない。それほど異型のものは人を遠ざける威力をもっているのだ。

ほら僕って道徳的でしょ心の醜い人間なんかじゃないよってレビューを書いて悦に浸るのはとても簡単だ。ただ人間である以上大多数の人間は①か②に分類されるであろうし美も醜も関係なく平等に接する人なんて特別な何かがなければ殆どいないと思う。容姿で区別するのは紛れもなく生物が生きていく上での本能であるしそれを否定することは出来ない。

おまえはどのタイプの人間?

そんな悪趣味な疑問を投げかけてくるデヴィッド・リンチは本当に心底意地悪な監督なのだと思う。

454本目