研ぎ澄まされた美しい作品だった。
『マルホランド・ドライブ』他一連のリンチ作品とは毛色が違うと聞いていたので保留していたのだけれど、入り組んだプロットや観客を煙に巻く展開などがない分、モノクロームの映像美をより堪能することができた。
見世物小屋に目を留めて吸い寄せられるように入っていく男、
立ち込める霧の中からゆっくりと現れる人影、
目の部分だけをくり抜いたエレファント・マンの衣装のクローズアップ、そのざらりとした質感
すべてが端正で緩みがない。
医師役のアンソニー・ホプキンスがとても魅力的で、いい役者というのは目の輝きが素晴らしいと改めて思った。