DJあおやま

エレファント・マンのDJあおやまのレビュー・感想・評価

エレファント・マン(1980年製作の映画)
3.7
生まれつき奇形な青年“ジョン・メリック”を描いた作品。初めて彼の姿がスクリーンに現れるシーンは、もはやトラウマもので、見てはいけないものを見てしまったかのような感覚をおぼえた。また、そのシーンまで、彼は一体どんな姿形をしているのかと想像を掻き立て、好奇の目で見ていた自分は、見世物小屋の客たちと何も変わりはしない。本当に醜いのは、己の心だと思い知らされる。もし仮に、街なかで彼を見かけたら、僕はどうするだろう。一度は見て見ぬふりをしたまますれ違い、その後きっとそっと振り向いてしまうだろう。差別をしてはいけないと心に思っている時点で、自分は区別している。差別する側と、される側を。偽善だ。
彼の不遇さ、それと反する魂の美しさに、胸を締めつけられる思いだった。これまで観た作品にない筆舌しがたい気持ちをおぼえた。鑑賞後、メリックがフィクションでなく実在した人物だと知って、また心が苦しくなった。彼の気持ちを、本当のところ、誰も想像することすらできない。
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