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エレファント・マンのfmのネタバレレビュー・内容・結末

エレファント・マン(1980年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

4K修復版を劇場で観てきました。

「容姿が人と違う」、たったこれだけの理由で分け入っても分け入っても見世物にされてしまう悲しい男の物語。
障害者や難病を特集した安易な感動ポルノとは一線を画す内容になっており、時折なんともいえず不穏な空気が流れたり、美しいショットがあるのは、さすがデヴィッド・リンチ。

自分の顔を鏡で見せられて身悶える場面や、見物に来た女と無理やりキスさせられるシーンはかなりキツイ。
喋ることによって人格を認められる辺り、人間はやはり言葉の動物なんだなと思った。
『少女椿』とか『ジョニーは戦場へ行った』のハッピーエンド版として観るとしっくりくる。

疑問に思ったのは、終盤の舞台観劇シーン。
見世物小屋出身の彼が、観られるのではなく観る立場になるのは興味深いのだが、劇場に来ていた他の観客から別段意味もなくスタンディングオベーションされるのって屈辱的ではなかろうか?(ケンドール夫人に悪意がないのはわかるけど)
あの時、エリックは内心ムカついていたのではなかろうか。
「また俺を見世物扱いしやがって」と。
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