つかれぐま

パンズ・ラビリンスのつかれぐまのレビュー・感想・評価

パンズ・ラビリンス(2006年製作の映画)
-
【オタク趣味の露悪】

評論家絶賛だが、私には良さが解らず。ダークな世界観を貫いたのは分かるが、ここまで鬱なエンディングにする必要はあったのだろうか?ファンタジーには夢があって欲しかった。

あの妖精たちは現実か?オフェリアの妄想か?両方に解釈可能な作り。悲しい現実に対峙する人が「物語」を欲する理由。どこまでも血にまみれ、そして血に縛られる人間の業。この辺が見所かな。

だけど・・、
悪魔的に強い義父と対峙するのが、弱き三人の女性という対立構造がもう胸糞悪すぎて。なぜもう少し強い女性にしてくれないのだろうか(もしや監督は強い女性がお嫌いか?と訝しむ)。そして最後にオフェリアは、なぜ弟をあっさり奴に渡したのだろうか?物語を強引に終わらせるための無理に感じてしまった。奴を観ていたら「イングロリアスバスターズ」のランダ大佐を思い出した。タランティーノならもっと胸のすく終わらせ方にしてくれたのに、と無い物ねだり。

あと、実質主役のクリーチャーたち。
これが監督の趣味であり、その完成度が高いのは分かる。でもこれはオフェリアの妄想だよな。少女がこんな気味の悪い妄想するだろうか・・。オタクのおっさんが少女に自分の愛する世界を押し付ける(あるいは自分の世界に理想の美少女を配置してニヤつく)ような気持ち悪さが浮かぶ。「エヴァンゲリオン」と違って監督がそこに無自覚なのもイヤ。

この監督の「シェイプオブウォーター」「パシフィックリム」は大好きだが、本作はオタクの持つ負の要素を露悪している印象。