ウツリィ

パンズ・ラビリンスのウツリィのネタバレレビュー・内容・結末

パンズ・ラビリンス(2006年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

アカデミー賞3部門受賞しているだけあって、くるくると語る飽きさせない映像。
独裁政権と、少女の夢見る王国。
メルヘンと毒。

独裁政権とゲリラが戦っているなか、
少女も逃げ込んだ自分の王国の中で、彼女なりの闘いを繰り広げていきます。
不公平な世界に染まらず、無垢な心を強く守り続けるために。

彼女が夢見る王国での、肥えたカエルを倒す試練はクリア。
食べ物を独り占めするペイルマンの晩餐で黄金のナイフを手に入れる試練では、ついついつまみ食いをしてしまいます。目玉を手にしたペイルマンに追いかけられて、なんとか逃げかえったものの、ちょっと失敗。
でも、最後は、自分からお母さんを奪った弟を犠牲にして王国の王女になる、という誘惑に打ち克ち、王女となって永遠な命を手にいれるのです。


そんなメルヘンな世界観を構築して、孤独にひとり苦闘し続けて気高さを保ち続けた少女、
彼女がそうさせざるを得なかった不条理な世界。

綺麗で悲しくてメルヘンなお話です。

ファンタジー部分のクリーチャー達のおどろおどろしさが、変にファンシーじゃなくて、興ざめしなくてよかったです。少女にとっての、世知辛い現実を反映させたのもあるのだろうけど。
女スパイも強いけど、ゲリラ側ではないのに、彼らもこっそり治療してあげていた、独裁者のお付きのお医者さんがいいです。医者として、そして人間としてのポリシーを感じました。

PG12ですね。
最初に、少女が倒れているところから始まったのは、よかったかな…と思います。
その示唆がないと、あの悲しいラストは、ファンタジー的なハッピーエンドを期待して見ていた子どもにとって、トラウマになると思いますから。
ウツリィ

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