都部

ドラえもん のび太の魔界大冒険の都部のレビュー・感想・評価

3.3
魔法が存在する世界なる浪漫溢れる世界観の開示は程々に、差し迫る魔界の危機に対処するべく宇宙に繰り出して大いなる野望と対峙する本作。魔法世界が醸し出す恐怖の雰囲気を損なわずに、物語に幾重かのツイストを加えることで満足度の高い長編映画として成立している。

100分弱の映画ということもあり魔界での冒険は些かの物足りなさを感じるものの、星の数による等級制度や幅広いビジュアルによる悪魔種の多様さなど世界観の妙を活かした設定が散見されるのが興味深く、この『もう少し見ていたい』に留める情報の提供が絶妙だなと思う。

ゲストヒロインを務める美夜子はビジュアルも含めてドラ映画には珍しいタイプのヒロインで、しかしキャラクターの描写としては不十分に思える薄味であるため、ここを掘り下げると洞窟におけるのび太との問答にもより厚みが出たのかなと。猫に変身するという設定は魔女/魔法少女物の王道であるが、妙な色気を感じるのはなんなんでしょうね。

本作は布石の張り方が分かりやすくも面白いもので、ドラえもんとのび太の石像の強烈なビジュアルが後々に回収される構成は時間移動を趣とする作品ならではの旨味がある。また劇場映画のクオリティ面での天敵 であるドラミが後半に登場するが、デウス・エクス・マキナ的な立ち回りは今回ナリを潜めていて、助力として主張が強い部分はあれどそれからの物語のスピーディーな解決法に不足はない。打倒すべき敵のギデオン周りの設定も捻りがあり、序破急が明確な作品として好感が持てる。
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