垂直落下式サミング

ドラえもん のび太の魔界大冒険の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

3.5
魔法が使えたらいいな、と考えたのび太は、ひみつ道具「もしもボックス」で現実の世界を魔法の世界に変えてしまう。だが、そこでものび太は落ちこぼれ。これじゃあつまらないと、元の世界に戻そうと思ったのに、ママがもしもボックスを捨ててしまって、さあ大変。
空を飛ぶとき使うのが、西洋の魔女の箒じゃなく、日本的な竹箒なのがいい。アクション演出では、赤と青の点滅でポケモンショックのピカピカが目を刺激。タケコプターの飛行シーンではしずかちゃんをパンチラさせるための後ろに回り込んだ露骨なアングルがあるなど、時代を感じる。
のび太が出木杉くんに「魔法は本当にあるのか?」と聞きに行くところがいい。自身なさげに「笑われるかもしれないけど…。」と切り出すのび太に、「僕は別に笑わないよ。」と言って、魔法の成り立ちを教えてくれる。出木杉くんの人格者っぷりがわかるいいセリフ回し。
天文や薬学は、むかしはまじないのひとつとされていたし、錬金術という不気味な学問から枝分かれして今日の科学が発展しただけで目指すところはひとつだったと、歴史を交えながら子供にも易しく説明してくれる。
だからこそ、もしもボックスで改変された現実においても、科学も魔法も根は同じだから勉強しなきゃ使えないって、持たざるものにとって都合のいい異世界設定は否定されて、のび太は魔法世界でも落ちこぼれのまま。悲しいなぁ。
ゲストキャラの満月美夜子は、かなりかわいいけれど、戦闘では攻撃的な魔法も使役する。この子と悪魔たちとの戦闘は、昨今のファンタジーもので見慣れた攻防戦。火水風土でベタに四大元素のエレメントを使役するスタイルっぽい。
美夜子の炎攻撃に対して、火に強いのは水だねてのはいいんだけど、バカ正直に質量攻撃してくるあたり、星ひとつの下級戦士って感じ。重要なのは相性ではなく殺傷能力だろ。まったくもって術式理解が足りてねえな。
能力系のバトルだと主人公が火である場合が多いので、水属性は敵だったり二番手ポジションだったりが多くて、パッとする強キャラが少ない。
水を使うマンガのキャラクターは、『NARUTO』の二代目火影がいちばん好き。初期の大蛇丸にエドテンされたときは、強さの裏付けだった精神性が失われた状態だったので、致命的デバフだった。水のないところで、このレベルの(ムダな)水遁をっ?!
火遁が得意なうちは一族を水でメタって、写輪眼の動体視力も必殺の瞬間移動卑劣斬りでメタる!そして、極めつけは倫理観ガン無視ゾンビ人間爆弾戦法!いい意味で少年漫画な登場人物しかいない忍者の世界で、他の奴らとは別方向に完成された天才忍者だった。終盤で見せたツバ飛ばし技の殺傷性能がヤバイ。コオッ!ガガッ!