垂直落下式サミング

ターミネーターの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

ターミネーター(1984年製作の映画)
5.0
機械の殺し屋ターミネーター。
エンタメと俗悪が詰め込まれた名画。キャメロンは名監督に、シュワちゃんは肉体派スターに、この一作でドでかいチャンスをモノにした。
シュワちゃんが若い。走れる。動ける。イケメン。それだけで幸せ。警察署でさえも単独で襲撃し制圧!なんとかその場その場をやり過ごして恐怖から逃れていくカイルとサラを、ターミネーターは息を荒げる様子もなく、背筋のピンと伸びたきれいな走り姿で追ってくる。コイツに追いつかれたらゼッタイかなわねえ…ってカンジがゾクゾクする。
やっぱ、イチバン衝撃的だったのはジョンを仕込む濡れ場かなあ。まだ剥ける気配もない頃、テレビでやってた映画でハッキリと男女がセックスしてるってわかるような表現をみたのは、たぶんこれがはじめてだったんじゃないかな、と。
はじめてのアメリカン正常位からの騎乗位はお子ちゃまにとってシゲキが強かったんだけれど、今みるとバックで流れてる音楽はダダンダンダダン♪のピアノ変奏曲っていう俗っぽさが、いい味を出している。
なんにも知らないユーチューバーの女の子が間違って同時視聴とかしちゃって、このシーンで気まずくなるのとか見てみたいな。イヤだなあ、感覚がおじさんになってきちゃった…。
シュワちゃんが味方の2が人気だけれど、1のほうがおはなしとしては一番きれいだと思う。そりゃあ、元々が俗悪B級なもんで、タイムパラドックスの穴探しやり出したらボロが出てくる。あそこで、スカイネットの元となるヤツをやっつけて審判の日を回避したのであれば、機械が反乱を起こす未来そのものがなかったことにならなきゃなんねえはずなのに、シュワちゃんもドロドロもご存命。
そもそも、カイル・リースが未来の技術で時間をさかのぼって来たから、サラはターミネーターを退けることができて命が助かったのだし、サラとカイルがセックスしなければジョン・コナーは生まれないワケですから、ニワトリが先か~タマゴが先か~てなもんで…。
この時点で、何処まで遡って歴史修正しようとも、未来からターミネーターが送り込まれるということは確定しているワケだし、人類はどうやっても避けられないくらい強力な運命の上にいるワケでしょう?
この時間軸の未来は救われたが、そもそもターミネーターたちは枝分かれした別の未来からやって来ているため、スカイネットを止めても存在し続けているんだという論理だとしたら、その時点で、じゃあジョン・コナーが救世主になったところで…ってコトなのだから、それまでの戦いの価値が下がってしまう。
むしろ、2でこの先の未来が不確定になってしまったことで、別にコイツが生き残らなくても、誰か別のヤツで代替えがきくんじゃね?と、僕は思っちゃったんだけど、どうなんでしょう。だから、「救世主になるはずだった男の子」の物語に明確な回答を示した3だって、負けず劣らずの傑作だと思うんだけどっ。
なかでも1がいちばん傑作だと思うし、自身と息子に降りかかるであろう残酷な未来を受け入れたリンダ・ハミルトンが、嵐に向かって車を走らせるラストシーンは、屈指の名場面でかっこいいと思います。
これ以上作ると、野暮ったい蛇足になるハナシに、ムリヤリ続編作ってるのがそもそもオカシイんだから。3も4も5も6も愛していきましょう。