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欲望の法則の一人旅のレビュー・感想・評価

欲望の法則(1987年製作の映画)
4.0
ペドロ・アルモドバル監督作。

スペインの巨匠:ペドロ・アルモドバルが『神経衰弱ぎりぎりの女たち』(87)と同時期に撮った作品で、4人の登場人物を中心に愛憎渦巻く人間ドラマが展開されます。

有名な映画監督でゲイのパブロ、その年下の恋人:フアン、パブロを激烈に愛する青年:アントニオ、性転換で女性になったパブロの兄:ティナという3人のゲイ&元男の4人の登場人物が織りなす愛憎劇を描いた作品で、ペドロ・アルモドバルらしいテーマ&作風に彩られたキャリア初期作品となっています。

物語の大きな推進力となっているのがアントニオで、彼は愛するパブロとフアンの関係性に嫉妬心を抱き、やがて取返しのつかない事件を引き起こしていきます。相手を一途に愛するがあまり、その裏返しとして噴出する嫉妬や怒りの暴走を悲劇的に描いて、愛の本質を苛烈に浮かび上がらせたアルモドバル節炸裂の愛憎ドラマとなっています。

主演のアントニオ・バンデラスが純粋ゆえに過ちを犯すアントニオを野獣のような眼差しで力演していますし、元男性のティナをスペインの大女優:カルメン・マウラが演じています。また、アルモドバル映画の常連であるロッシ・デ・パルマも端役ですが顔を見せています。
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