レオン

百万人の音楽のレオンのレビュー・感想・評価

百万人の音楽(1944年製作の映画)
4.3
こんな名作が埋もれていたとは!(アマプラ見放題★4半作品)
人物描写が素晴らしく、さらに好人物ばかりで、好きになれる登場人物が複数♪ 戦場の夫からの連絡を待つ、慰問オーケストラ奏者の若妻の憂愁が主な物語だが、演奏シーンも絶妙。

大筋の物語は他愛ない物だが、各シーンで全ての登場人物が何を思っているかが、手に取る様に分かる描写が素晴らしい。 そして登場人物と一緒に喜怒哀楽(怒はなかった♪)させてくれる。

ビックリするのは、主人公の妹役(当時7歳少女)マーガレット・オブライエンの目の演技。  会話シーンはとにかく相手から目線がピクリとも動かない! 病院の廊下で待つシーンも病室ドアから目線が動かない! 台詞を言う前に、心中になにを思っているかを目が訴えている♪ 大人の有名俳優でも中々々出来きない演技を、彼女はわずか7歳で熟達している。 

ちょっと勝ち気で頑固で、10歳以上年上の姉をまるで自分の妹のように気遣う大人びた子供を100%以上に演じている。 今作と同年公開された「若草の頃」にも出演し、第17回アカデミーでアカデミー子役賞(Academy Juvenile Award)を獲得し、天才子役の名声を欲しいがままにしていたそうだ。 そんな賞が存在したのも驚くが、今作以上の演技をしているという事にさらに驚愕!

その姉で主人公のジューン・アリソンは美人だが、品行方正で良心をも容姿だけで表現出来る様な女優さん。 日本人に例えるなら、若い頃の「吉永小百合」さんを彷彿させる。もちろん役柄もそのまんまな適役。

指揮をしながらコミカルな好演のホセ・イタルビは実際の指揮者兼ピアニストで、役者の方が副業という事実に驚く。
押しが強く、口も悪いが根は優しいマネージャー役ジミー・デュランテ(ウンビリアーゴという曲の演奏シーンは日本人にはちょっと演出過剰に思うが、米人にはこれぐらいの方がウケるのか♪)の名演など、上記全てが好まれる登場人物!

序盤のドボルザーク「新世界」やベートーヴェン「運命」
私は初耳だったがハーモニカでのドビュッシーの「月の光」等、名曲挿入も多々。

考察など全く不要で、とにかく素直に感動出来る名作です。 物語展開を重要視する方には少し物足りないかもしれませんが、人物の心情表現に感動する私には傑作級に感じる作品で、現在のフィルマ★平均が低すぎるのと、まったく話題にならないほど埋もれている事が不思議。 アマプラ契約してる方は是非ご視聴を♪

挿入曲などさらに詳しく知りたい方は↓参照
https://note.com/toshiakis/n/n635f4f5ec27b
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