ちろる

カフカ 田舎医者のちろるのレビュー・感想・評価

カフカ 田舎医者(2007年製作の映画)
3.8
躍動感のある動き、幻想的な色彩。
まるでヨーロッパの絵本みたいな山村氏の独特な絵に、古典的な狂言の語りでものがたりが進むアンバランスさがストーリーの奇妙な世界観とマッチしてる。
たった30分の短い中にカフカの描きたかった人間の葛藤が詰まっていた。

田舎のとある医者の家に重病人の連絡が入る。病人の家はかなり離れた場所にあり、馬車を借りなければならないが、馬を貸してくれる馬丁は美しい女中を手篭めにしようとして馬との交換条件に、、泣く泣く走り去った先の病院の家では・・・?

人は1つの目的を遂げようと必死になると大切なことを見失いそうになる。
見たことも無い、どんな状態かもわからない病人のためにあきらかな犠牲に見て見ぬ振りして、何一つ残らない。
医者の仕事に対する実直さを称えなければいけない一方で、虚無感が残るモヤっとするエンディング。
お見事
ちろる

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