みずきち

籠の中の乙女のみずきちのレビュー・感想・評価

籠の中の乙女(2009年製作の映画)
4.0
好みではないが、あらゆる皮肉が独特のディストピア表現で描かれていて、とても良い映画である。
全体的にゾッとするような怖さがあり、気が狂っており、ずっと気持ち悪い。嫌な意味で目が離せないことばかりが起こる。最後まで両親の動機は明かされないことが逆に、エゴと愛の紙一重さを浮き立たせている。ラストの姉妹の個体差は、「無知の知」となることも、「知らぬが花」でい続けることも、人間は両方選べるが両方に苦難がある、そう伝えているかのようだった。他にもいろいろなメッセージを受け取ることができると思うが、その解釈の余地の広さと、そのための表現手段の醜悪さが唯一無二の映画監督だと感じる。

ただし、ラストシーンが少しダサいというか、それまでの期待の膨らみを一気に摘んでしまうような終わり方になりがち。
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