Yuri

籠の中の乙女のYuriのネタバレレビュー・内容・結末

籠の中の乙女(2009年製作の映画)
2.0

このレビューはネタバレを含みます

あのお母さんに何があったのだろう?子どもが誘拐されたとか死なれたとか?そんな事情は子どもたちは関係ないと言わんばかりにカットされているところが、ヨルゴスさんらしい鋭さを感じました。「うちはおかしい!」と子どもが訴える場合、親は大抵「どこのうちだって皆そうよ!」って言うんだよなぁと、極論を描くことでその異常さがよくわかるというか、これは一定層には鬱映画かも(>_<)でも、両親に愛され、安全な中で邪気にまったく触れずに育っている子どもたちは案外幸せそうなんですよね。それこそ、ユートピアみたいに。人間は衣食住さえ苦労しなければ、他と比べる対象がない方が幸せなのだなと皮肉にも彼らの生活を通して知ってしまうっていう。でも、そんな生活も、父親が子どもたちのためではなく、自分がその生活を守るためだけにとった行動で破綻してしまいます。これも、親はエゴを全く出してはいけないと言われているみたいでまた辛辣。この父親は間違いなくダメ親父なんですけどね(爆)長女に「好きな名前つけたらいいよ」と言われて、習ったものではない素敵な名前をひとつも思いつけない次女が悲し過ぎました。「背中」でもいいと思うけどな。これまでに観たヨルゴスさんの作品の中では、最もシニカルで最も極論にブンッと偏っているのに普遍的なテーマをちゃんと描いているところはブレなくて、ずっと静かだけど、眠くならない映画です。
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