このレビューはネタバレを含みます
いま1番シュールな映画を撮る監督、ヨルゴス・ランティモスの原点と一部では評判の作品。
PTAが推薦してました。(ポールトーマスアンダーソンの方。父母会は推薦しないでしょう。。)
まず猫好きな人は見てはいけません。
直近の「女王陛下のお気に入り」から「聖なる鹿殺し」「ロブスター」とだんだん過去に遡って観てきました。過去にいくほど正直どんどんシュールになっていきました。
基本的に絶対的な権力者のようなものの支配する狭い世界に異分子が入ってきてその狭い世界が揺れていくような話しが多いのかな。
このストーリーではギリシャのお父さんが絶対君主の田舎の豪邸の中の家族のお話し。
お父さんはすでに成人してると思われる子どもたち3人、長男と2人の姉妹を家から外に出したことがない。外には凶悪な猫という猛獣がうろうろしていて人間は家の外にいると食いちぎられると教えられている。だから子猫が庭に入ってきたら大変なことになります。
そして子どもたちは大人の犬歯が抜けないと外には出れないと教えられている。(だから永久に出れない)お父さんはお仕事で外に行きます。
長男に性の手ほどきをするためバイトで会社の駐車場の女性をあてがいます。しかしこの女性が面白がってか、外の世界のことをちらほら話してしまう。例えばゾンビとか。知ってる?とか言われると当然知ってると答えるお兄ちゃん。しかし後でお母さんにゾンビって何?と聞いて黄色いお花のことよ、と教えてもらって納得する。
「ママ!ゾンビが2つ咲いてるよ!」庭で喜ぶお兄ちゃん。かわいいです。
子どもたちは語彙を両親の吹き込んだ頓珍漢なテープで覚えているので高速道路は強い風のこと、海は皮のソファーなど、???の会話をお互いして生活する。
バイトのお姉ちゃんは調子に乗って子どもたちにクンニでの性奉仕を覚えさせる。元々子どもたちは犬のトレーニングの要領で育ってるのでバター犬のようなもの。子どもたちのうち1番好奇心の強い娘がクンニをするかわりにハリウッド映画のビデオを要求し、ついに外の退廃した文明がこの箱庭ワンちゃん一家に入ってきてしまう。
果てして子どもたちはどうなっていくのか?
まあね、親の思い通りに子育てなんてできませんとか、宗教に基づく家庭教育への批判だとか(アメリカの一部のキリスト教原理主義の家庭とか)いろいろあるようですが、なかなか強烈なシュールさなのでまずは笑って楽しめばいいのではと思います。
猫好きは絶対見てはいけません。